意外と似ている? 物理学とAI

物理学を含む自然科学では大量の観測データからその背後に潜む物理法則を発見します。
AIでは大量のデータを学習することで、その背後に潜むパターンを見つけ出します。
物理学とAIは少し似ています。
概念的な相似以上に用いる手法の面でも、物理学とAIは重なる部分があります。
そこでキーワードとなるのは確率です。

確率と推論と物理学

例えばある画像データに映るのがネコなのか、それともイヌの写真なのか、
判断したいとき、どうすればいいでしょうか?
はっきり映っていればいいのですが、映りが悪くて判断しづらいとき、
たぶんネコである」とか「おそらくイヌである」という言い方をするでしょう。
ここには確率の概念が現れています。

一方で、物理学でも確率が現れることがあります。
例えば空気の状態を物理的に考える際、分子の一個一個について調べていては、
コップ一杯の空気の状態を調べるために、
膨大な量の方程式を解く必要があります。
この方法はどう考えても非効率でしょう。
このようなとき全ての分子の運動を調べるのではなく、
分子の状態が従う確率分布を調べることで、問題を単純化できます。
このような物理学を統計力学と言います。

確率の計算を簡単にするためには?

確率が簡単に計算できればいいのですが、
AIでも物理学でも、現れる確率はそんなに簡単ではありません。
複雑な確率の計算をコンピュータを使って高速に実行したい!
そう思って開発されたのが、
モンテカルロシミュレーションです。

この講座では、モンテカルロシミュレーションによる確率の計算を、
プログラミング言語 Python を使って実装することを目指します。
Python を使ったことない人や、物理学を履修していなくても大丈夫。
基礎から進めるので一緒に学んでみましょう。

講座の内容

この講座では Python というプログラミング言語を用いて、
各自でモンテカルロシミュレーションを実行することを最終的な目的としています。
Python の基礎から始め、
特に磁石の数理モデルである「イジング模型」について、
モンテカルロシミュレーションを使って調べてみましょう。
物理を履修してないし「モンテカルロシミュレーション」も「イジング模型」も知らないよ、という方も基礎から説明するのでご安心ください。
(というか高校生で知っていたらすごいです)
またモンテカルロシミュレーションとAIに関する講義も行います。
興味がある方は奮ってご参加ください。

必要な準備・機材

  • お申込みから登録してください。
  • 本講座はオンライン上で Zoom を通じて行われます。PC とインターネット環境は各自でご用意ください。
  • Python を実行する環境として google の google colaboratory の使用を予定しています。google colaboratory を使用するためには google アカウントが必要です。アカウントは各自で用意してください。
  • 分からないことがあればお気軽にフォームからお問い合わせください。 

講師

上村尚平

経歴

2017年3月 京都大学理学研究科博士後期課程修了

2017年4月 - 2019年3月 京産大学益川塾博士研究員

2019年4月 奈良女子大学理系女性教育開発共同機構特任助教


専門

物理学(素粒子論)

連絡先((at)を@に直して送信してください)

s_uemura(at)cc.nara-wu.ac.jp